2018年11月19日王位戦予選 船江六段対千田六段にて先手の千田六段が5手目24歩と指されました。
居飛車党の上級者の方は覚えておられる方も多いと思われますが、24歩は五手爆弾という定跡型を先手が選ぶ可能性がある手になります。
先手が罠にかけるハメ手ですが、対策をし易くアマチュア有段者レベルでは先手の必敗といわれています。
五手爆弾対策!
五手爆弾はきっちり受ければ後手必勝ですが、先手には罠が複数ありますので定跡を見ていきましょう。
上記画像の局面から、
▽同歩 ▲同飛 ▽8六歩 ▲同歩 ▽8七歩 ▲2三歩 △8八歩成 ▲同 銀 △3五角 ▲2五飛 △5七角成 ▲2二歩成
居飛車党の方なら見覚えのある局面だと思います。
後手が先に角を取り馬を作った局面ですね。
お勧めしない手順
まずは先手の理想である後手は指さない方が良いとされる自然な後手32銀を見ましょう。
先手▲45角と打たれて馬を作る手を狙ってきます。
後手が金銀玉で63の歩を守った場合は22飛車成で後手必敗、
▽26飛でも▲52歩▽同飛▲63角成で飛車と桂に当てられてしまいます。
角を先手に打たれた上記局面での正解は32金ですが、評価値上は互角であり後手としては面白くないでしょう。
対策手順
正解は同銀ではなく同飛と取ります。以後
▲23歩に対して▽12飛車で22に対する角打ちを警戒しています。
12飛車以外では22角打ちに香車を取られて互角に戻ってしまいます。
▲23歩▽12飛車▲24歩で飛車先を止めます。
この局面では検討モードにて先手-757になっていました。
▲11角成▽同飛車▲27香車▽45角で後手が勝勢となります。
以下▲24香▽27歩とし香で馬を取れます。
何故24歩が指せるのか
以上の定跡から先手は5手目に歩を突く事は珍しい手になります。
ではなぜ千田6段は先手で歩を突いたのでしょうか。
今回の対局では▽同歩の局面で先手の千田6段は▲78金と指しました、これは五手爆弾にならない形になります。しかし後手側が合い掛かりか1歩得する形を選ぶ事になります。今回の対局では42金として合い掛かりの定跡に戻る事になりました。
後手が42金と指しましたので合い掛かりになりましたが、▲78金に対して84飛と指せば後手が1歩得する形になります。
そのため5手目に24飛車は珍しくアマチュア見解では序盤の一歩損は先手が致命的なミスのため指せないと言われています。しかし、千田6段はコンピュータによる最新定跡の第一人者であるため後手側は一歩得の変化を選ばなかったのかもしれません。
あるいはプロ棋士の間では一歩得を選べないのかもしれませんが、84歩の情報が無いため憶測を越えられず。千田6段の準備していたと思われる返し技は披露されませんでした。